『もっと、光を』

ゲーテの死に際の言葉だ。なんだかよくわからないけど、かっこいい。
彼は、いったいなんの光を欲していたのだろう。死という絶望からの希望の一筋だろうか、大自然を照らす太陽だろうか。その答えは、室内灯だった。病室が暗かったのが気に入らなかったらしい。

わたしはとてもきれいな風景をみているとき、となりにいる人はいったいどんな世界を見ているのかと気になる。わたしがみている世界と、はたしてどれほどの違いがあるのだろうか、と。
どんな光のなかで、どんな色彩で、どんな形をしているのだろうと、気になって仕方がなくなる。毛細血管が運ぶ光の筋は、きっとみんなちがう。

そんなの当たり前のことなのだけれど、普段は忘れている。